2018年4月14日(土曜日)
時間:14:00~17:00
場所:国際文化会館
講師:石渡慧一氏(経済産業省 貿易経済協力局通商金融課、
貿易振興課(併任)政策審議室課長補佐)
プロフィール:国際基督教大学(ICU)卒、東京大学大学院卒 2013年 経済産業省入省、経済産業政策局企業行動課配属 2015年 通商政策局アジア大洋州課
2016年 貿易経済協力局資金協力課
2017年 現職参加者(順不同・敬称略)
与賀田正俊、泉 三郎、岩崎洋三、植木園子、植木 潤、大森東亜、太田裕子、小野博正, 近藤義彦、塚本 弘、西井千太郎、西川武彦、政井 寛、窪田亘弘、桑名正行、小泉勝海、柳瀬和之、田中壮太郎、堀江 興、持田鋼太郎、中島由美、保田邦雄、栗原 潤、畠山朔男
議事要旨
経済産業省若手から、次官・若手未来戦略プロジェクトについて、前回に続いて講演をしてもらった。今回の講師も、前回の菊池さんと同様の入省5年目の石渡慧一さん。「21世紀からの日本への問いかけ」というディスカッションペーパーに基づき、講演をしてもらった後、議論をした。
AI、I oTの登場により現在は第4次産業革命が始まっており、2つの大きな変化が生じている。1つは、AI、lotにより、無人化などの労働代替化が進むこと。工場のみならず、オフィスでも、単純労働は、機械によって、代替されてしまう。そうした中で、「差異」を生み出せる事業者だけに利益が偏在する傾向が強くなるのではないか。今後においては、バイオテクノロジーの革新的技術とAI、I oTが融合し、画期的な治療法や医薬品の開発など、健康医療分野のパラダイムシフトが期待される。そうした時代に、日本の立ち位置をどう考えるか。少子高齢化が日本の足を引っ張るといわれているが、高齢化によって、日本はAI、I oTへの抵抗が世界で最も少ない国になるのではないか。また、AI、I oTのサポートによって、高齢者が、支えられる側から、価値創造側に回ることもできるのではないか。日本の多様な産業基盤は、経済複雑性指標ランキングで、世界一。我が国の価値観、文化が有する「差異」が、世界に新たな価値を生み出す可能性があるのではないか。
戦後日本は、製造業中心の発展により、経済成長とともに、格差の小さい社会を維持してきた。だが、このモデルが、今、揺らいでおり、所得の二極化が進行し、貧困、孤独が拡大している。今後においては、AI、I oT、バイオ技術を活用し、世界最高レベルの高齢者の労働参加と、若者の教育への思い切った投資により、「差異」を生み出す人材の創出が必要。
こうしたプレゼンを踏まえ、活発な質疑応答を行った。国家財政が破綻する危機をどう考えるか。もし、金利が上昇すると、大変なことになる。人々の幸福をどう考えるか。特に、若者たちは、現状に満足しているのではないか。ただ、満足度は、主観的な指標で、日本人は、概して、厳しい評価をする傾向。例えば、顧客満足度調査で、外国人は、良かったら10点を付けることがあるが、日本人は、満足していても10点は付けない。教育は重要だが、今、基礎的分野を削って、実用的分野に向かっているが、これは問題だ。また、詰め込み教育の問題点を指摘する人がいるが、孫正義は、「教育が役に立たないといえるほど、勉強をしたのか。論理的思考は、勉強によって養われる」と言っている。多様性という点で、例えば、デンマークでは、平均転職が5回、幸福度についても、ヒュッゲという文化で、住み易い社会を作っている。など、大変活発な議論が行われた。(文責 塚本 弘)