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GJ研究会:「Open Government, Open Data. Open Governance」

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日時:2019.2.9  13:30~16:30
場所:国際文化会館 401号室
演題:「Open Government, Open Data. Open Governance」
講師:奥村裕一氏 (東大公共政策大学院教授、元通商産業省官僚)

1)オープンガバメント
近年世界各国でインターネットの双方向性を活用することで積極的な政府・地方自治体の情報公開(オープンデータ)や行政への市民参加を促進する「政府のオープン化(オープンガバメント)」が急速に進展している。講演はオープンガバメントの歴史から始まった。 インターネットの普及を背景に米国のオバマ政権(2009年)の初署名がオープンガバメントのきっかけを作り、その実施について3原則が策定された。

①行政の透明性 ②国民が行政に参加 ③行政と国民が協働

この制度で強調されたことは米国の民主主義の強化と政府の効率性や有効性の向上であり、 このトレンドはこれからの政府と行政のあるべき姿として世界的に受け入れられた。
特にEUや日本でも「オープンガバメント」を積極的に推進している。

2)オープンデータ
行政が持つデータを民間へ積極的に公開する流れが急速に高まっている。 行政が持つデータは個人情報など情報公開法で不開示となっている情報を除き、全て市民と共有する。
これがオープンデータの原則である。 2013年G8サミットで「オープン・データ憲章」が合意された。 オープンデータは世界の潮流になっている。

オープンデータの基本形は
①オープンデータを政府・自治体の標準とする
②データの量と質を改善 ③全ての者に利用可能とする

その目的は、データを公開することは民主主義プロセスの強化であり、民間のデータ活用はイノベーションにつながり、産業育成になる。
日本政府は平成28年度に「官民データ活用推進基本法」を定め、政府及び地方自治は「オープンデータ」に取り組むことが義務づけられた。 この取組により、国民参加官民共同の推進を通じて諸課題の解決、経済の活性化、行政の高度化、効率化などが期待されている。近々、次期国会に向けて「デジタル・ファースト法案」が検討されており、今後デジタル化が急速に進展することが予想される。

3)ポリシーラボのアプローチ
「オープンガバメント」を実現するための新しい政策形成の手法である「ポリシーラボ」が潮流になっている。 英国、デンマーク、米国でこの手法が普及しており、日本も導入を考えている。 行政の政策形成の新しいアプローチで「デザイン思考」と言う新しい手法で課題解決を考える。「デザイン思考」とは人間中心デザインのプロセスを行政サービスの経営に取り入れ、 行政サービスをより人にとって共感を得られるサービスにデザインすることである。ポリシーラボの考え方は日本の地方自治体にも影響を与え、滋賀県は行政運営の政策形成にデザイン思考を活用している。県知事が率先して「県民の本音を起点にした共感に基づく政策形成」を小冊子で発表している。

4)オープンガバナンス
奥村先生が自ら実践している地方自治体がオープンデータを活用し、地域課題を解決するコンテスト「チャレンジオープンガバナンス(COG)」が2016年から毎年開催されている。 全国の地方自治体から市民/学生に解決してほしい地域課題を募集し、デザイン思考やデータ分析を活用して課題を掘り下げ、自分達で解決策に取組むことを基本としている。 2018年度は38自治体から応募があり、今年の3月に最終公開審査と表彰が行われる予定。
過去のコンテストで入賞した色々な解決アイデアが披露され、中でも川崎市の地域全体で子育てを応援する街作り「ファミリーサポートから里親へ」の感動的な課題解決の話は印象に残った。今年も素晴らしい課題解決のアイデアが出ると期待している。
(文責: 小泉勝海)

 

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