日時:2017年11月8日
参加者:七名 「総説」では、久米は常に、使節団から持ち帰った統計・地図・パンフレットなどを使って全力で、当該国の概要を記述する。地勢、地図、河川、湖、山脈、歴史、気候、農・畜産物、鉱産物、工業、貿易、人種、言語、教育、宗教、通貨、度量衡など満遍なく詳述する。今回は、地図を参考にしながら,読み継ぐ。久米の総説はモデルがあった。ブリッジマン著『大美連邦志略』(アメリカの地誌を、清国との対比で書いた)と『海国図志』(清国の魏源が、イギリス人ヒュー・マレーの『世界地図大全』を漢訳したもので、100巻に及ぶ大著。アヘン戦争で屈辱を味わった清国大臣の林則徐が、魏源に完成を示唆したもので、幕末の日本で何冊も部分訳されて広く読まれて、アヘン戦争のような目に遭わぬようにと佐久間象山や横井小楠などを始め、尊王攘夷志士たちに多大な影響を与えた)や恐らく福沢諭吉『西洋事情』などを参考にして構成されたと思われる。貿易、交易に物流(鉄道、海運)の必要性も強調する。1867年にロシアからアラスカを750万ドルで、仏領ルイジアナを1803年、フランスのナポレオンから、一エーカー13セントで買い取っている。仏領ルイジアナは、当時アメリカの四分の一を占めていた。なお、1870年のアメリかの人口は3887万人、日本は3441万人であった。アメリカの州名、都市名や河川、山脈の名にもネイティブ・アメリカンの部族名が多用されている。お馴染みのポーハタン号やサスケハナ号の船名も部族名由来である。因みに西部劇『駅馬車』はアパッチ族に襲撃される話で、使節団渡米の前後の話。アパッチ首長ジェロニモは1886年に降伏している。(文責:小野)