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GJ研究会:「中国問題」

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日時:2021年10月27日(水)10:00 ~13:00
場所:zoom
参加者:17人
タイトル:中国問題
議事要旨
9月の国分良成先生の講演を踏まえ、我々自身で中国問題について、さらに掘り下げようということで、活発な議論が行われた。

まず、三島研一氏から、中国をどうとらえるか、日本はどう対応していくかについて、プレゼンがあった。習近平の「中華民族の再興」という方針の下、欧米との摩擦は増加しており、日本としても「政経分離」というこれまでのやり方ではなく、経済的安全保障を含めたリスク管理を行なうことが必要。アメリカの対中政策だが、気をつけるべきは、アメリカ政府の中国政策とは別に、アップル、ウォールマートなど米国企業がグローバル分担体制の中に中国を組み込んでいる点だ。次いで、質疑応答があった。(最近寝そべり族が出ているようだが、その背景は?)とにかく、受験競争は異常なほどだ。いい大学に入れないで、やる気を失う若者が相当いるのは事実だ。(中国で赤い資本主義はどの程度進んでいるのか)上海などで、株式市場はそれなりに発展しているようだ。(戸籍制度はどうなっているのか)基本的には、都市戸籍と農村戸籍は区別されており、農民が都市戸籍を得るのは難しい。ただ、近年成都、重慶などで、規制緩和の動きもあるようだ。(今、中国で、「論語と算盤」が人気なようだ。行き過ぎた資本主義は見直されるのではないか。また、世界の発展の中心はアジアだ。中国を含めたアジアの繁栄をどう考えるかが大事だ。)(アリババ、テンセントなどはIT技術を駆使して、金融分野にまで進出しており、共産党もコントロールできないのではないか)石油など多くの基幹産業では国営企業が中心であり、IT産業でも、政府の統制が今後強まると考える。

次に、塚本から、日本企業の中国対応について、プレゼンがあった。中国への日本企業は約13600社にのぼり、2020年の世界の中国への海外投資はアメリカを上回っており、中国市場の大きさは無視し得ない。ただ、欧米企業には、「中国撤退」(ニューズウィーク誌)の動きも見られる。北京日本商会も行政の規制、運用手続きについての予見性、透明性の欠如を問題にしており、各国の商工団体が協力して政府に働きかけることが重要。中国のTPP加盟には、多くの問題があり、難しい点はあるが、アメリカの加盟を得て、加盟交渉を梃子に各種規制などについて粘り強く改善を求めるべき。アリババ、テンセントなどへの規制強化については、個人データの保護が不十分であったり、寡占による弊害が見られるなど、経済の質の向上という観点から取られた措置という見方がありうる。質疑応答では、(中国では、データを外に出すことが禁じられており、久保田のトラックターは、世界中の情報を本部で集めてメンテナンスに役立てているが、中国だけはクローズドな形になっている)。(TPPについては、中国の加盟申請を梃子にして、しっかりと世界と同じ形になるように持っていくべき)などの意見があった。

小泉勝海氏から中国の科学技術について、プレゼンがあった。今、米中は熾烈な技術覇権争いを行なっている。中国政府は国家による戦略的科学技術力の強化を宣言している。質の高い科学技術論文が増えており、材料科学、工学など8分野の5分野で首位になった。特許も9分野でトップ。AI研究でも米国を逆転。科学技術投資54兆円は、日本の3倍。こうした中国と、科学技術分野で、どう付き合うべきかというプレゼンがあった。質疑応答は次のとおり。(宇宙開発では、ロケットなどはロシアの協力から始まったようだが、最近はどうか)最初はロシアからの協力があったが、その後、中国の宇宙開発は驚異的な発展を遂げた。今は、世界中から優れた科学者を集めている。慶応大学の青木節子教授は、「中国が宇宙を支配する」という文藝春秋の論文で、世界初の量子科学衛星の脅威について書いている。(原子力については、今や米国、仏に次ぐ発電所を保有しており、小型原子炉についても、精華大学で開発をしており、そろそろ実用化される見通しだ)日本としても、岸田政権で科学技術立国を目指すとしているが、抜本的に予算を投入すべきだ。

最後に、鎌田昭良氏から、「中国軍の近代化と台湾・尖閣問題」について、プレゼンがあった。中国の軍隊(人民解放軍)は、共産党の軍隊という特徴があり、近代化を進めているが、未だ米軍に後れをとっている。空母遼寧はウクライナの中古であり、スキージャンプ方式のため、艦載爆弾などの収容能力が低い。人民解放軍の行動には強硬さが目立つ反面、慎重な対応もある。すなわち、尖閣でも、軍ではなく、海警が前面に出ている。尖閣問題については、我が国としての備え(海保、警察、自衛隊)の強化が重要、また、米国の安保条約に基づくコミットメントは不可欠。他方で、緊張のエスカレーション・ラダーを上げないようにする慎重さが求められる。台湾問題については、200キロ近い台湾海峡があり、大規模侵攻部隊が上陸するのは容易ではない。また、米国の動向もあり、軍事侵攻のリスクは巨大。中国にリスクが巨大と思わせ続けることが重要。

質疑応答は次のとおり。(日本の防衛力強化だが、スイス、スウェーデンなどモデルになる国はあるか)ヨーロッパの国と比べると、日本の軍事的脅威は比較にならないほど大きい。中国のみならず、北朝鮮、ロシアに囲まれている。これに対抗するには、軍事だけでは無理で、総合的な外交力、そして何よりもアメリカと一緒ということを見せる必要がある。アメリカの一部には、尖閣のあの岩を守る必要があるのかという議論もあり、まず、日本が先頭に立って自国を守るという覚悟が大事だ。(日本には、軍事アレルギーがあるのが、問題だ。武器輸出は近年緩和されたがどうか。インテリジェンスやサイバー対策も重要。)武器輸出ではなく、「装備品の海外展開」と言っている。同盟国には、OKだ。インテリジェンスは、日本独自には、電波情報ぐらいだ。サイバー対策も、一周、二周遅れだ。(台湾有事は、ある米国の軍人によると、7年以内に起こる、しかも、模擬戦では、米国が負けるとの分析もあるがどうか)国分先生もはっきり言っておられたように、台湾有事にはならないと思う。アメリカ軍人の話は、冷戦のときにソ連の脅威を訴える議論があったように、予算確保の狙いもあっての面がある。台湾側が何もしないのに、中国による一方的な軍事侵攻は考えがたいし、200キロの海峡を渡り、さらに高い山脈もあり、侵攻は容易ではない。また、偵察衛星で軍事的な動きは常にチェックしている。

(文責 塚本 弘)

 

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