日時:令和3年6月9日(水)13:00~15:00
第四十一巻「フランス国総説」
国土、歴史、地方自治、産業・人口
面積約54万km2、南北990km東西90km。人口3800万人。インド(いくつかの港)、インドシナ、アルジェリア、セネガル、ガイアナ等海外領土を有す。
486年クロヴィス王(フランク族)によるフランク王国が起源。751年宮宰ピピンが出て権力を掌握、その後1000年に亘り豪族・聖職者がフランスを支配した。1624年宰相リシュリーの時代、1789年フランス革命、1804年ナポレオン皇帝即位を経て1848年共和制に移行した。
行政単位は県・郡・村。農業・工業・商業のバランスが取れ人口分布・富も平準化している。都市部人口は40%、大きな都市はパリ、リヨン、マルセーユ、ボルドー。
地勢、交通、気候、土壌、農業
平野部多く、東はアルプス、南にはピレネー山脈が聳え、北にはアルザスがあり、それぞれスイス・イタリア、スペイン、ドイツと国境を接する。セーヌ・ローヌ・ロワール、ジロンド(ガロンヌ)の諸河川は700~900kmの長さで、ミデイ運河(世界遺産)を始め河川を連絡する運河も多く水運が発達している。
国道・県道の総延長は74000km、鉄道は28000km、電線路は36800km。
気候は温和。肥沃で農産物が豊富、パリの鉱山学校【1783年ルイ16世創設の理工系最高峰】は全国の土壌を分析し作物との関係を評価していた。
農業従事者1958万人、60%が5ha以下の耕地を有する。牧畜も普及している。
鉱業、工業、貿易
鉱物はおおむね全て産出、鉄・石炭の産出量は十分。
工業製品は精巧でデザインも優れている。ゴブラン織り、セーブルの陶磁器、リヨンの絹織物、カレーの麻レースが有名。金銀等の細工は細密、軍艦・大砲等の鉄製品はイギリスと競っている。ドイツ・イタリア製品には優雅さ、華麗さで勝るとフランス人は自慢する。
欧州大陸陸上交易の中心。貿易高は英蘭白と違い輸出が多い。商船トン数は100万トン、海運従事者は4万人【共にイギリスの約5分の1】。商業従事者は4%。
1871年普仏戦争の賠償金も直ぐに払い、英国民を驚かせた。
人種、教育、宗教、通貨、度量衡
「フランク」人が2000万人、南部「プロバンサル」が1250万人、独伊西系が30万、ワロン人200万、ケルト人100万。
未就学者は30%、南部に行くに従い教育が遅れている。聖職者も普通教育を担う。
ローマカトリックが主流で3710万人、プロテスタントは84万人。
貨幣単位は「フラン」、その100分の1が「サンチーム」。5フランが1ドル相当。
「自然尺(メートル法)」が施行され、温度は「摂氏」表示である。
(冨田兼任記)