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実記輪読会:37巻「スタッフォード州とワーリック州」ノ記」

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日時:2月10日 13:00~15:00
場所:ZOOMに依るオンライン開催

明治5年10月1日(1872月11月1日)から2日(同11月2日)スタッフォード州とワーリック州を訪問した。

バートン・オン・トレントのビール工場
10月1日、シェフィールドを発ち70km南のバートン・オン・トレント(単にバートンとも呼ばれる)に着き、オールソップ社ビール工場を見学する。バートンは「醸造の町」として知られ、19世紀後半には英国内ビール生産の1/4を占めていた。オールソップ社は当時Bass(今でも有名)社に次ぐビールメーカであり、鉄道駅の近くに大きな工場があった。現在でも一部が残っている。

夕刻32㎞南のバーミンガムに到着、市長の出迎えを受けクイーンズホテルに入った。ホテルは1854年開業、写真でみると駅に隣接する4階建て石造の立派な構えであったが1960年代中ごろ取り壊されている。

コベントリー市
2日、バーミンガムを汽車で発ち東方24㎞にあるコベントリーに行く。コベントリーはワーリック州(ウエストミッドランド州)の州都、現在人口英国第8位。自動車産業(ジャガー他)、大聖堂(ナチスドイツの空襲で破壊され1962年再建)、ゴダイヴァ夫人(重税を軽減すべく領主である夫に掛け合った、全裸で馬に乗って町を一周したら考える、という夫の無理難題を住民に、見ないように、と言って実行、重税の軽減を勝ち取った。この時のぞき見した男がpeeping Tom)の伝説で有名。

紡績工場・絹織物工場・時計工場
1854年Jhon and Joseph Cash兄弟が創業した綿織物工場は、Cash’s Topshopと呼ばれ戸建てのタウンハウスを連結したような建物で1,2階は従業員住居、3階部分が大きな窓で明かりを多く取り入れた工場となっていた。。

絹織物工場を所有するThomas Stevensは絹織物職人でもあった。Stevengraphと呼ばれる絹織物絵画を考案したことで有名で、ゴダイヴァ夫人の行列を作画した絹織物も残っている。

Rotherham & Sonsの時計工場で時計の組み立て工程を見学した。1857年にはCharles Dickensが同工場を訪問している。

ワーリック城
工場見学の後、ワーリック城を見学した。当時(そして現在)も保存状態がよく、陶磁器・絵画・武器などを展示。規模や歴史的価値でウィンザー城にも比較されるほどで現在は指定遺跡に登録され観光施設となっている。当地を訪れたことのある鈴木瑠璃子さんから「シェークスピアは近傍ストラトフォード(ストラトフォード・アポン・エイボン)の出身で、ハムレットが城壁(a narrow platform upon the battlement銃眼付きの胸壁の上の狭い砲座)の上で、亡き父王の亡霊と話す場面はこの城をイメージして書いたと言われている。城壁の上は幅約5m位で狭かった(想像していたよりずっと広かった)」とのお話があった。

市長邸での晩餐
工場見学の後、市長の私邸に招かれ晩餐を饗される。晩餐の後、邸内にある動物・鉱物標本、骨董品を見学、令嬢の説明を受ける。こうして、代々文化的素養が受け継がれてゆくのか、と感心する。

(冨田兼任記)

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