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GJ研究会:「憲法9条ー昨日・今日・明日」

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日時:令和2年2月15日(土)13:30~16:00
場所:国際文化会館4F会議室
内容:憲法9条ー昨日・今日・明日
講師:栗明純生氏

報告
1 昨日 新憲法制定までの概略 GHQが1945年9月から検閲を開始し、その中には「GHQが日本国憲法を起草したことへの言及と成立での役割の批判」が対象となっていた。ホイットニーらが吉田茂外相らにGHQ原案を示し、この案を政府独自の憲法改正草案要綱として公表。

2 今日 政府見解は自衛のための戦争は可能とするが、一切の交戦権否認条項があり合理的解釈は困難。なお、世界中で何らかの平和条項がある憲法を有するのは150ヵ国で、全体の82%とされるが、内容は濃淡の幅が極めて広く日本のような交戦権の否認まで制定している主要国はない。

3 明日 太平洋戦争の敗因はリアリズムの欠如と「空気」の支配。我が国に隣接し核装備を有する中国、ロシアに加え、今、北朝鮮という新たな脅威をどう捉えるか。「北朝鮮による核の威嚇には、原則的に、抑止の論理が効かないのである。それは予測不能な武力だからだ。」(「日本4.0」文春新書 エドワード ルトワック)

議論
現行憲法を改正すべきか否かについて、賛否両論だった。今の憲法でよいという説(今の首相に憲法を任せられるか、憲法を100年生かす(保坂、半藤)、石原莞爾も戦後は道義国家を目指すべきとした、スイス的防御もありうるなど)に対し、北朝鮮、中国の脅威の下では、憲法を改正するべきとする説(安全保障は国家の根幹であり、侵略戦争はしないことは当然だが、憲法を改正し、自衛のための戦力は保持しうると明記し、新たなるサイバー攻撃などにも対応できる体制を整備すべき、スイスに駐在したが、徴兵制の下で、徹底した態勢をとっている、あるとき北朝鮮が九州に攻めて来たらどうするのかなど)が出され、活発な議論が行われた。また、最近の若者は、こうした議論は避けたがる傾向があり、国民全体にどういう形で関心を持ってもらえるようにするかも課題とされた。最後に発表者の栗明氏から、「自分は平和主義者であり、平和が一番大事だと考えている。しかし、周りにそうではない国がいるという状況の中では、日本も必要な態勢を整備すべき。これこそ、リアリズムだ。戦前はリアリズムなき軍事路線を歩んだが、戦後は、リアリズムなき平和路線を歩むことを危惧している。」とのコメントがあった。(文責 塚本 弘)

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