日時:5月8日(水)13:10~14:50
場所:日比谷図書文化館4FセミナールームA
内容:第18巻『費拉特費府ノ記』
ナヴィゲーター:岩崎洋三
第18巻『費拉特費府ノ記』を、輪番で音読し、ナヴィゲーター役岩崎が、多くの写真や地図を盛り込んだ22コマのパワ―ポイントを使って、使節団訪問時の風景を再現しながら解説した。
使節団は、長引いた米国での条約改正交渉に見切りをつけて、フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストン経由、次の訪問国英国を目指すことを決断し、ワシントンを去るが、本章は、その途上2泊3日でフィラデルフィアに立ち寄った記録。
ワシントンから使節団に同行したワシントンDC知事Henry Cookeが、フィラデルフィア近郊の同氏の実兄で金融家のJay Cookeの豪邸”Ogontz”に案内し、使節団はそこに2泊した。
フィラデルフィアは、独立宣言が調印され、当初アメリカの首都だったことから、使節団は議事堂や造幣寮等を見学して多くを学んでいるが、金融家で独立戦争の北軍軍資金調達を一手に引き受けて勝利に貢献したJay Cookeの『大小ノ画額各房ニ充ツ』50室を超える広壮な邸宅で、同氏から西海岸とミネソタ州を繋ぐ4000マイルに及ぶ鉄道開発や、スペリオル湖の港町ドゥルースを第二のシカゴにして、セントローレンス川経由大西洋に至る3700マイルにも及ぶ水運を繋げて両大洋を結ぼうとの巨大構想を聞いて感銘している。
後日談だが、欧州における普仏戦争終結後のインフレと、アメリカの鉄道等の過剰投資から1873年恐慌が勃発し、Jay Cookeの銀行は倒産、Ogontzは100人規模の女学校になった。(岩崎記)