日時:2018年11月14日(水)15:00~17:00
場所:日比谷図書文化館4階セミナールーム
テキストの1857年12月7日(月)から12月16日(火)まで、旧暦では安政4年10月21日から10月30日までを読む。
ハリスが下田奉行を通じ幕府の要路者と折衝した結果、来日の主要目的である将軍(家定)と謁見し、アメリカ大統領(ピアス)の信任状(親書)を呈する運びとなる。
米大統領親書により日本に外国との通商と門戸開放を要請する。
謁見は、300有余の大名、高官が居並ぶ前で行われる。大君の右手に堀田備中守と閣老5人、左手には大君の兄弟3人がひれ伏す。ハリスは立って挨拶の口上を述べると、大君はしっかりした口調で「遠境の処、使節を以て書簡差越し、口上の趣、満足せしめ候、猶幾久しく申し通ずべし、此段大統領に宜しく申し述べし」と応答する。
大君の応答のあった後、ハリスは大統領親書を掘田外務相に渡す。親書には「日米の絆を強化し、両国の通商が相互の利益となる条約を結ぶこと、そのため大統領はハリスに全幅の信頼を寄せている」とあり、大統領の自署と国務長官の副署が記されている。
謁見を終えた後、ハリスは堀田外務相に通商問題に関し書簡を出すとともに、堀田備中守を訪ね、ハリスの接待役人同席のもと、幕府の今後の課題について説明する。ハリスは、折しも諸列強は日本を開国させようとしているが、中国とのアヘン戦争など戦争によることなく使節との平和裡での交渉が望ましいとして次の3点を指摘する。即ち、
1)江戸に外国公使を受入れること、
2)幕府の干渉なしに日本人に自由貿易をさせること、
3)開港地を増やすこと。
堀田外務相はハリスの説明を真剣に聞くとともに課題解決には相当日時がかかると応接していたと、ハリスは日誌に記す。 (大森東亜記)