日時:2018年10月10日 13:10~14:50
場所:日比谷図書文化館 4Fセミナールーム
「第十一巻「ワシントン」市ノ記 上」
使節団は1月21日ワシントンに到着、アーリントンホテルに投宿。大統領夫人から歓迎の花束が届いていて感激する。ホテルはホワイトハウスの北側ラファイエットパークから北北東に伸びるヴァーモントアベニューにあった。【実記の、ホワイトハウスは公園一つ隔てた(ホテルの)西隣、の記載は正確ではない。方角的にはホワイトハウスはホテルから見ると南側になる】また、通りを隔てたジョンソンハウスを事務所として使ってよいと米国側が便宜を図ってくれる。
1月25日ホワイトハウスでグラント大統領に謁見。大使・副使は衣冠、5人の書記官は直垂、皆帯剣し、大使が天皇の国書を大統領に手交した。27日キャピタル(国会議事堂)訪問。下院において議長と大使がスピーチ交換の後、中央ドーム下部(ロトンダ)を見学、コロンブス上陸・ワシントン大統領選出・独立宣言起草等十枚の絵画を見る。2月3日国務省で第1回条約改正交渉会議開催、しかし、国家元首の委任状なしでは交渉できない、と指摘を受ける。このため、2月12、13日と大久保副使、伊藤副使が相次いで委任状を取りに帰国の途に就く。2月17日廃兵院を訪問、2月24日米側が正副大統領、各省長官臨席の下招宴を開く。
なお、輪読会では現地で撮影したキャピタル内部(ロトンダ等)、(上述の“西隣”を頼ったため)誤認したホテルの最上階から財務省越しに見たホワイトハウス等現地の様子を写真で紹介した。
吉原氏より米欧回覧実記に加え当時の新聞記事、大使信報そして木戸日記の記載も含めて、日付を縦軸、各日記の記述を横軸とした比較表が提示された。今後これら史料に富田命保日記も含めてこの比較表に記載してゆくことで、多面的に使節団の行動の記録を把握できることが期待される。なお、この時期富田命保日記によれば、1月28日、29日は旅費の精算、とりわけ官費で賄っていた同行學生の私費分の精算を含め手数を費やして旅費精算に従事したとある。
富田記